長田寮活動報告

今月は"訓練日記"でもおなじみの「調理実習」についてお伝えしたいと思います。
ここ長田寮では朝・昼・夕とも自炊していますが、地元の食材配達業者"タイヘイ"さんにお願いし、タイヘイさんのレシピをもとに生徒が当番制で作っています。
そこにはお母さんの大変さを体感し、また、自立の際にコンビニ生活ではなく自炊ができるように・・ということや料理のさじ加減や調理の際の段取りも訓練であり、これによって机の上では学ぶことができない生きる知恵を体感する事ができるからです。
当然、みないろんな和・洋・中料理ができるわけですが、時々、目を離すと調理が適当であったり、自己流でやってみたり・・・例えば、朝ごはんにスクランブルエッグがあるとしますと、ある子はそぼろ状態のいり卵やまたある子は玉子焼き・・・になってしまったり、また、豚肉とチーズのホイル焼き・・・・を本来ならば野菜と豚肉を味付けして上にチーズをのせてからホイルで包んだ後にオーブンで焼かなければいけないのですが、それが面倒なため素材を全部いっぺんにフライパンに入れて豚肉と野菜炒めのチーズ風味・・・にしてしまったり、がんもどきの煮物があればたくさんの煮汁の中にがんもどきがプカプカ浮いているほど調味料と素材の割合が正しくなかったり・・・・と、いろんな調理上の問題点も多々発生してきます。
気をつけなければいけない細かな料理のコツや、勝手な判断をさせないよう目を離さない指導をしなければいけない・・・という必要性が自然と出てきたのです。
そのため、生徒への調理指導を今年から昼食・夕食作りの時、調理師免許を持った寮母さんにマンツーマンでみて頂くことになりました。
寮母さんはお名前を若原さんといいます。長田寮に寮母さんとしていらっしゃる前は、
病院で患者さんの病状にあわせた食事を作っていらっしゃった方です。また、長年調理師として現場で活躍していらっしゃったので、調理の段取りやコツにかけてはプロフェッショナルです。そんな生きる知恵を時々は指導をして頂いておりましたが、これを常時お願いすることとなりました。 開始にあたっては次のような申し送りを生徒全員にしてありますから、毎回、割ぽう着を 着込んだ寮母さんと共に生きる知恵を学んでくれています。



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最近では真っ黒に揚がったコロッケ(中は凍っている)や、プカプカ浮いた煮物や味噌汁を無駄に捨てることも無くなり、なによりも子どもたちが口々に「ご飯がおいしくなった。」とみな喜んでいます。
また、月に2回ですが定期的に"調理実習"を授業で行っています。この授業での講師は 管理栄養士(厚生労働大臣の免許を受けて、管理栄養士の名称を用いて、傷病者に対する療養のため必要な得鵜養の指導。現在は妊婦さんへの栄養指導)の牧野先生にお越しいただき、月に2回ですが、調理実習をしていただいております。
第一回目はフライパンで作るホットケーキでしたが、焼き加減や火加減について学びましたし、事前の学習では栄養について学びました。また、ある時にはデコレーションで使ったいちごを利用して(痛んでいたいちご)いちごジャムを作りましたが、水を一滴も入れずに苺と砂糖だけで出来上がり、その自然な酸味やおいしさにみな感動しました。
自立への一歩に自炊は欠かせません。今後はタイヘイさんのメニューに頼らず自分たちでメニューを考えたり買い物に行ったり、食事はもちろんのこと、お弁当を作ったり・・・ 原価計算をしたり・・・という授業を展開していく予定です。 地道な活動と思われるかも知れませんが、ここにははかり知れぬ食育と人生勉強になる場があります。牧野先生のご指導で、栄養学や手作りの素晴らしさを学び、寮母さんのご指導から調理はもちろんのこと機敏性や先をよむ力や多くのことを学びます。
今後も子どもたちの自立にむかって、独創的な授業を展開していきたいと思います。

                  塾教育学院    日下部愛子


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