愛知の教育を考える懇談会より

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【子どもの問題を図解する】



A 「どうしていいか分からない」と相談室や診察室に出向き、自ら立ち直ろうとする意思を持つ、実に関わりやすい子どもたち。フリースクールにも参加し、カウンセラーの励ましにも耳を傾けられる。親も指導者に理解を示して、とても前向きで協力的である。
*およその専門家が関わっているのがこのケースの親子である。国や県の行政機関も、この分野の親子に多額の予算を立てて支援をしている。



「人に会えない」「家から出られない」ので、立ち直ろうとする前向きな気持ちはあっても、誰にも相談できなくて独りでもがいている子ども達。親は困って専門家を訪ねて周るが「子どもから来られるまでゆっくり待ちましょう」「それまで刺激をかけないで全てを受け入れて見守れ」と言われ続けるため、全部の専門家が言うのだからと鵜呑みにして実行する。結局のところ、子どもの問題はどんどん悪化していき、問題は延々と長引いていくばかりだ。
*専門家が家庭という現場まで出向いて行って、子どもと共に行動して導いてやればいくらでも立ち直るケース。しかし、そういった専門家は誰一人としておらず、親子で孤立していく。国や県の行政機関も専門家も、関わりを嫌って見てみない振りである。



「誰にも会わない」「相談する気もない」というように、子どもは問題から立ち直ろうとする意思がない。しかし、親は「このままでは子どもがとんでもないことになってしまう」と大きな危機感を持っているが、専門家の関わりを嫌う対応にはホトホト嫌気がさしている。そうかといって、親身になって関わってくれる機関もなくて途方に暮れている。
*親の「子どもをかならず救う」という信念が動かなければ、専門家や地域の大人が家庭まで出向いて行って子供を説いてやり、共に行動して導いてやれば立ち直らせることは可能なケース。しかし、そういった専門家も大人も誰一人としておらず、親子で孤立していく。国や県の行政機関も専門家も、関わりを恐れて見てみない振りである。



子どもにも親にも全く危機感がなく、反省して変わろうとするような姿勢もない。親が亡くなって子どもが働かなかったら、生活保護でも受けたらいいと、最後には行政に頼ったら何とかなるくらいの無責任さがある。他に、孤独に陥って苦しんだ末、社会に憎しみの刃を向けるケースもあるだろうし、親子間で殺人事件や傷害事件が起こったケースは毎日のようにニュースを騒がせているのは多くの国民が知るところだ。
*手の施しようがないケース。


『子ども問題の現況のまとめ』

●図のように、およその専門家が関わっているケースは、陽の当たる氷山の一角の子どもたちに過ぎないし、問題の中でもいちばん関わりやすい子どもである。国や県の行政や専門家は、この分野の子供たちに焦点を合わせて支援をしているに過ぎない。
●子ども問題がなぜ深刻な社会問題になっているかと言えば、陽のあたらない水面下には、立ち直ろうとする意思を持たない子や、その意思はあっても人に会えない子どもたちがいて、子ども問題の大半を占めているからである。親は子どもを諦めないで居るが、専門家は体のいい事勿れな対応で関わりを避けている。
● 出向い行って立ち直ることに手を貸してやれば、BとCの親子はいくらでも立ち直るが、誰も家庭まで出向いて行こうとしない。国や県の行政機関も見てみぬ振りで、支援を含む一切の接触から逃げ腰である。
●それでもBとCを支援できないと言うのなら、国や県の行政機関は『親の教育』を一刻も早く全国で展開し、子どもを自立させられるだけの力を親に的確に教えていくべきだ。それを急がなければ、子どもたちは今にとんでもないことになってしまうだろう。

愛知の教育を考える懇談会・委員
同・「子どものこころ」部会・委員   長田 百合子

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